赤ちゃんが欲しい方へ
当院で行う不妊治療はタイミングと人工授精をメインとする一般不妊治療です。
当院での一般不妊治療の特徴は、私(院長)が体外受精や顕微授精の診療経験があるため、その経験を背景にどの様な患者さんにどのタイミングで高度な不妊治療へステップアップが必要なのか熟知した上で一般不妊治療を受けられる点です。患者さまの年齢や背景、ご希望にそって適切な検査や治療、またステップアップの時期を相談します。また、当クリニックは平日は19時まで、土曜日も18時まで診療しておりますので、お仕事帰りに一般不妊治療に通いたいと思う患者さんにもご利用頂きやすいと思っています。
1.不妊症とは
妊娠を希望するカップルが避妊なしで性交渉を1年続けても妊娠できない場合を不妊症と言います。期間は1年間とされていますが、昨今の晩婚化や子宮内膜症患者の増加などに伴い、1年未満であっても検査や治療が必要な方がおられます。
2.不妊症の原因
不妊症の代表的な原因は排卵因子(排卵できない、時期が毎回異なる)、卵管因子(卵管が詰まってしまう)、男性因子(勃起や射精障害、運動精子の数の減少や質の低下など)です。他にも子宮筋腫や内膜ポリープによるもの、免疫性不妊、ピックアップ障害、卵管機能性不妊、授精障害、着床障害など沢山あり、手をつくして調べても原因が判明しない原因不明不妊が全不妊患者の1~3割にあるとされてます。また原因は一つとは限らず、様々な不妊原因が複雑に重なり不妊症となっているケースも多くあります。
3.不妊症の検査
まずは不妊症の代表的な因子(排卵障害、卵管因子、男性因子)を1-2ヶ月かけて調べます。その上でタイミング療法からスタートするのか、人工授精が必要なのか、最初から体外受精、顕微授精が必要なのかある程度判断できます。排卵障害は月経周期の必要なタイミングで数回に分けて超音波やホルモン採血を行い調べます。卵管因子は卵管造影検査が必要ですが、当院ではアレルギーのリスクや痛みが少なく、放射線被曝のリスクがない超音波卵管造影検査を行っています(必要性や希望があれば連携施設へ従来のレントゲン撮影を用いた卵管造影検査の紹介状を作成します)。また年齢や不妊経過に応じて、卵巣年齢を調べる検査(AMH:高ミュラー管ホルモン)や精子に対する抗体検査(抗精子抗体)をおすすめすることがあります。男性因子は勃起障害や射精障害の有無を問診したり、精液検査にて精子数や運動性能を調べます。
4.不妊症の治療
不妊症の治療にはタイミング療法、人工授精、生殖補助医療(体外受精や顕微受精)があります。当院では一般不妊治療(タイミング療法、人工授精)のみを行っています。
タイミング療法とは、超音波で卵胞(卵子が入った袋)の大きさ、子宮内膜の見え方や厚み、子宮頸管粘液の性状や量、血液や尿のホルモン値などを総合的に判断し、排卵のタイミングを正確に予測し、この排卵期に確実に性交渉を指導することで、妊娠を目指す方法です。もっとも負担が少なく、もっとも自然に近い方法になります。タイミング療法には患者さま自身の自然周期による方法と、飲み薬や注射の排卵誘発剤を用いた方法の2段階があります。
人工授精とは女性側の排卵に合わせて、不純物を取り除き元気の良い精子を集めて濃縮し(洗浄調整)、カテーテルという細い管を用いて子宮内に精子を注入する方です。人工と名前がついていますが、注入された後は授精から妊娠までは自然妊娠と全く同じです。体外受精や顕微授精に比べると妊娠率は低いですが、比較的安価で体への負担が少ない方法です。タイミング療法で妊娠しない方や軽度の男性不妊の方に適しています。
5.院長からのメッセージ
不妊症はとても辛い状態です。結婚前や妊活前は当たり前の様に赤ちゃんを授かる未来を想像していた状態から不安や焦りを感じ、周囲の配慮ない言動に傷つき、どの産婦人科に相談したらいいのか分からないと皆さん悩まれています。そして勇気を振り絞って、不妊外来の門を叩かれます。当然不妊治療を行っても全ての患者さまがすぐに妊娠する訳ではありませんので、治療も長くなるとお金もかかりますし、体力も気力もかなり消費します。私は少しでもその様な患者さま、ご家族のお気持ちに寄り添い、力になりたいと思っています。ご自分達で悩まず、思い詰めず早めにご相談下さい。
よくあるご質問
ご主人も同席されて大丈夫です。不妊治療は女性側の努力だけではなく、男性側の協力が必要不可欠です。是非ご一緒に説明をお聞き下さい
不妊症は1年間妊活しても妊娠しない状態を指しますが、昨今晩婚化や子宮内膜症患者の増加などによって早めに不妊治療を行う必要があるカップルが沢山いらっしゃいます。妊娠に関して少しでも不安があれば早めにご相談下さい。不妊治療が必要かどうかも含めて診察させて頂きます。自分達で思い悩まず早めに婦人科医に相談しましょう。
女性側の不妊症スクリーニング検査は月経中(卵胞期)、排卵前(排卵前期)、排卵後(黄体期)の全てで必要な検査が異なりますので、月経のどのタイミングで初めて来院されても大丈夫です。2回目以降の受診は医師から指示があります。
当院では基礎体温は必須とはしていません。基礎体温は外気温などの影響を受けやすかったり、もともと排卵障害がある方では参考にならないこと、また当院では超音波や血液検査、尿検査など様々な方法を用いて排卵時期や黄体機能を測定しますので、基礎体温を参考に治療方針を決める事はありません。妊娠や不妊に関して心配な事があれば、基礎体温をつけていなくても思い立った時にすぐに受診して頂いて大丈夫です。もちろんつけてきて頂いても大丈夫です。
精液検査は当クリニックで可能です。正確な検査を行うための準備や条件がありますので、文章で説明させて頂きます。お気軽にご相談下さい。
当クリニックでは患者さまの背景やご希望に沿って一緒に治療を考えます。例えば、お一人目を自然妊娠しており、お二人目がなかなかできない原因が卵管ではなく性交渉のタイミングがあっていないことと予想される場合などについては卵管造影検査を保留し、しばらくタイミングの指導のみを行うことはあります。しかし初めての妊娠を目指す方で、不妊期間がある程度長い方には卵管造影検査は必須と考えています。また卵管造影には検査の意味だけではなく、検査によっては卵管の通りが良くなるため、卵管造影後3-6ヶ月程度妊娠率が高くなるメリットがあります。当院ではアレルギーのリスクや痛みが少なく、放射線被曝のリスクがない超音波卵管造影検査を行っています。ご相談しながら決めていきましょう。
2022年より不妊治療は保険適用となりましたが、体外受精、顕微授精などの「生殖補助医療」では不妊治療開始時に女性の年齢が43歳未満、とされています。タイミング法、人工授精などの「一般不妊治療」では保険適用の年齢制限はありません。男性も年齢制限はありません。当院では患者さまにご年齢毎の妊娠率や流産率などをお伝えした上で、患者さまに治療のご希望があれば年齢による不妊治療の中止は行っていません。
申し訳ありませんが、現時点では当院では行っておりません。生殖補助医療について、内容を簡単に説明します。生殖補助医療は、採卵という手術により排卵直前に卵巣から取り出した卵子を体外でパートナーの精子と受精させ、受精後は受精卵を体外で培養し、発育した良好な胚を採卵から3-5日目に子宮に移植し妊娠を試みる治療です。受精させる方法には体外で精子自らの力で授精させる方法(体外受精)と人の手で精子を卵子に直接注入し授精させる方法(顕微授精)があります。一般的に成熟した卵子を複数得るために採卵前は排卵誘発剤を1週間前後使用します。採卵周期では卵巣過剰刺激症候群という副作用が生じることもあり、妊娠成立時により悪化と長期化を生じやすいので、採卵周期では新鮮胚移植を回避し全胚を凍結し、卵巣や子宮の回復をまって凍結した胚を解凍し移植(凍結融解胚移植)することがあります。凍結融解胚移植の際は自然周期またはホルモン剤を使用し(ホルモン補充周期)、移植に適した時期の内膜を超音波と血液検査で評価していきます。採卵時の新鮮胚移植、ホルモン補充周期での凍結融解胚移植では移植~妊娠10週程度までは黄体ホルモンの補充が必須となります。ご自分が体外受精や顕微授精に進んだ方が良いのか悩んでいる場合でもお気軽にお問い合わせ下さい。
お問い合わせ・ご予約
Tel. 092-852-7301